カメさん日報です。
数日前に、新しくイマージョンで展開する事業の件で、エン・ジャパンの創業者越智道勝代表取締役会長(以下越智さん)にお会いしました。越智さんが言われてことで、自分自身も改めて考えさせられることがありましたので、整理してみたいと思います。
越智さんは、新卒で入ったアパレルメーカーを2年で辞めて、その後にお兄さんに誘われてお兄さんが経営する食品メーカーに入社されました。社員教育に非常に熱心だったこともあり、29歳の時に大手組織開発コンサルティング会社に転職されました。ちなみに、越智さんは、一緒にいた時期はありませんでしたが、大手組織開発コンサルティング会社において、私自身の先輩になります。
越智さんは、コンサルティング会社で長く働く予定でしたが、老いたお母さんから芦屋に帰ってきてほしいとの要請があり、32歳の時に芦屋に戻り、関西で日本ブレーンセンターを起業しました。日本ブレーンセンターは採用広告の代理店として、設立10年で関西No.1の代理店に、その後、インターネットの到来を予期して、95年に社内にデジタルメディア事業部を設立して、ネットを活用した求人求職情報サービスを開始。その事業部を独立させる形で2000年1月に設立したのが、このエン・ジャパンです。現在では、上場して、売上200億円、社員も2000人になります。
越智さんからお聞きした中で、印象に残ったことは、以下の通りです。
1.転職を支援しながらも転職は必ずしも良しとしない~社会正義性
これは、越智さんがおっしゃったことではありませんが、心の無い、紹介会社は、3カ月を過ぎると、フォローして他の会社を紹介するといったことが行われます。なぜなら、紹介料が新たに発生するからです。そうした中、エン・ジャパンは、売上市場主義ではありませんので、3カ月過ぎても、会社に留まることを勧めます。今の仕事をしっかりと大切に行わない人は、転職してもうまくいかないと越智さんは考えていることです。そのため、大手紹介会社のように売上1兆円などは目指しません。
単なるお金儲けではなく、その上位概念である社会正義性を掲げていてビジネスすることが重要だと考えているからです。売上規模や社員規模を、モチベーションに会社を成長させてきたのではなく、ご自身は、純粋にこの社会正義を大切にしてきたし、これからもそうしたいと言われました。
2.心物両面の豊さ
稲盛和夫京セラ名誉会長言う、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」とありますが順番があり、心が先であると言われました。物が先ではない。心が先であると言われました。売上が上がるとモチベーションが上がるという考え方ではなく、モチベーションを高めることで売上が上がると言う話と共通点があります。
3.有効離職率
一般的には定着率が悪い会社は、いい会社とは言わないでしょう。しかし、越智さんは、必ずしも離職率が悪い会社は、必ずしも悪い会社ではないといった考え方です。定着率がよくても、成果を生み出さない、やる気がない人が残る会社はいい会社ではない言います。。むしろ、エンプロシアビリティー(他社でも通用できる能力)がある社員を育成することが重要。これは、人を大切にしないといったことではなく、、その人が活躍できないのであれば、活躍できるところでやった方がいいといった考え方です。
越智さんの一緒にやってきた鈴木社長のロングインタビューがYOU TUBEに上がっています。
越智さんのお話を聞いて、自分なりに、社会正義とは何か?を考えてみました。
社会正義性は、コトバンクには、「人間が社会生活を営む上で、正しいとされる道理」とかかれています。
よく社会正義でテーマとなるのは、貧困の問題です。
貧困はあくまでも自己責任であるといった考え方もあります。しかし、一方、格差がある中で、貧しい人を支えるのが人間同士の平等と公平につながると言う考え方もあります。何が、社会正義か?時代によって価値観も変わっていくでしょう。
個人的には、自己責任があるかどうか?は、本人の努力で何とかできるかどうか?で判断することが、貧困における社会正義性ある対応だと思います。生活保護世帯の子どもたちは、生活保護を利用していることは、当然だと思います。もし、親が、生活保護で得たお金をパチンコに使うような人であっても、子どもは親を選んで生まれてくることはできないからです。
弱者と強者の構造も同じです。坂本先生がよく、障がい者雇用を促進するべきといった理由として、
「障害を持って生まれたいといった人はいない。障害を持つ子供を生みたいといった親もいない。だから、強者である健常者が支えるのは当然である」
と言われますが、本質だと思います。つまり、本人が選びたくても選ぶことのできない理由で、本人が生涯にわたって何らかの不利益を被り続けることがある場合は、社会全体で支えるのが、まさに、社会正義性だと思います。
会社の在り方も同じではないかと思います。努力することができるのに努力しない人は、ある程度、自己責任が当てはまるのではないか?と思います。一方、努力することができなくなった社員に対しては、その程度において、会社や同僚が支援することが会社における社会正義性だと思います。
例えば、今後、増えることが予想される介護が必要な社員の家族に発生した場合、働き方などを考える。周りが、カバーするのは当然だと思います。女性活躍の問題も同じで、女性に管理者を30%などとビジョンを掲げても、男性と異なり、子供を産み育てることができる環境があって初めて実現するのは、少し考えればわかることです。当然、社会も会社も方策を考えて実行しないと、お題目に終わります。
少し前に、1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか? 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか? 前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか。といった究極の問いに対する議論が話題になり、サンデル,マイケルの本がベストセラーになりました。こうした究極の選択でなくても、日々の中で、しっかりと考えることは意義があることだと思います。
コメント