カメさん日報です。
昨年から、フコクしんらい生命と法政大学の共同研究を行っています。テーマは、「脱価格競争」です。WEBアンケート調査を行い、インタビュー調査として、数多くの企業を訪問しています。今年の夏頃に出版予定の「さらば価格交渉(仮称)」の取材で、フコクしんらい生命の方と一緒に、急遽、神奈川県横浜市にある秋山木工を訪問し、秋山利輝代表にお話を聞いてきました。
秋山木工は、宮内庁やスーパーブランドに納品するくらいの高品質の注文家具を製造、販売している会社です。家具の品質でも有名ですが、未経験の新卒から一流の職人を育てる 人材育成の手法が有名で、賛否両論が出るユニークな考え方で丁稚制度で人を育てています。
秋山代表は、取材の主旨をお伝えすると、以下のことをお話いただきました。
何のために生まれてきたのか?この広い宇宙で、生まれてきたのか?自分は何なの?どんな人もお役目がある。天命使命がある。早く発見できるといい。今やっていることは、出会いがあって、ちゃんとやっていますか?そう考えたら、価格競争している場合か!と思う。
俺たちは職人だ。職人が価格競争してどうする?ある意味で、みんな職人。医者、営業、といった職種もそうだし、専業主婦だって職人でなければならない。北条正子以来、女性に男性が勝った時代はない。
松下幸之助は、ある意味、悪い人なので。もう少しゆっくりやってくれれば良かったが、あっという間に、世の中を便利にしてしまった。飯たき、洗濯も、自動化されて女性も時間ができた。そうしたら、教育ママになっていい学校に行かせることに注力した。そのために、自分も稼いで、塾の費用を稼ぐといったことになった。しかし、その過程で、目的を持てない人が育つことになった。保育所不足の問題も考えなければならない点は、0歳から預かれた人は、母親の愛情を受ける時間が不足してしまう。そうしたことも考えた上で、保育所問題を考えないとおかしくなる
と言われました。
また、秋山代表は、無駄なことはしないそうです。
「特殊にないことをやればいい。ブランドを創れば、注文家具をつくる。現在、売上は13億程だた、全部注文。顔の見れる、直接、お客様が喜んでいるかを大切にしている。基本的には、競争しないで勝ち抜くことを心掛けている。秋山木工が出てきたら、これは、勝てないと相手がやる気が無くなってしまう。これが最高の戦い方である。品質と価格。納期、機動力が。揃っていれば、必ず、戦わなくても選ばれる。お客様から、あそこにまかせっていけば安心と思わせることが大切である。信用されることが一番で、この前やらせてみてからろくなものでではなかったとなったらダメである。現在、秋山木工は、競合しても勝率が8割と驚異的である。他の会社はやる気ない。値段はいくらで出しても勝負を決まっている。」
「いつも、業界を知り続けないといけない。どんな業界も同じである。断トツ一番。何十年かかている。策がないと戦ったら負ける。」
「自分の時間を大切にしていくし、相手の時間も大切にする。1時間1秒ずつ死ぬ方法に向かっていることが分かれば、待ち合わせ。人をイライラさせてはいけない。あの人に安心していられると思われないといけない。」
「苦労したのはダメ。家具も同じで。命かけてやりましたではロクなものができない。一流プレーヤーを苦労を見せない。世界で一番で幸せであると思える人がいいものを創ることができる。お客様にいつも喜んでもらえる。価格以上のものが届く。サービスを越えるサービスをして予測していないことを提供する。。
どんくさいことをやっている。でも凄いおしゃれである。どんくさくおしゃれをやる。おしゃれでどんくさいのは大嫌い。俺たちに流行を創っている。私たちは、丁稚という言葉を創っている。そうしたらおしゃれになる。」
秋山社長は、昭和天皇が使われる家具も数多く作られてきた職人中の職人です。そして、現在の職人は、かくあらねばならないと、「職人心得30カ条」を設定して、毎日、暗記して朝礼で確認します。男女一人一人まだ、あどけなさが残る20前後の2人が、職人心得30カ条を、そらで読み上げてくれました。
「職人心得30カ条」
1.あいさつの出来た人から現場に行かせてもらえます。
あいさつはコミュニケーションの第一歩です。また、人との信頼関係を築く上で大切です。
2.連絡/報告/相談の出来た人から現場に行かせてもらえます。
常に連絡・報告することで、指示を出した方に安心していただき、何かあった時にすぐに対処を取ることができます。
3.明るい人から現場に行かせてもらえます。
明るい職人さんの周りにはお客様が集まり、お仕事がいただけます。
4.周りをイライラさせない人から現場に行かせてもらえます。
お仕事は、チームプレイです。集団行動の中で人をイライラさせないために周りに合わせ、協調性のある行動を取ることが大切です。
5.人の言う事を正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。
指示された内容を正確に理解し、素直に行動に移すことが大切です。
6.愛想よく出来る人から現場に行かせてもらえます。
いつも愛想よくしていると、周りの方々に気持ち良くお仕事をしていただけます。
7.責任を持てる人から現場に行かせてもらえます。
仕事に失敗は許されません。常に緊張感を持ち、最後までやり抜くことが大切です。
8.返事をきっちり出来る人から現場に行かせてもらえます。
分かっているのか、いないのか、意思表示をすることで仕事のミスをなくします。
9.思いやりがある人から現場に行かせてもらえます。
常に相手のことを自分のように考え、行動することが大切です。
10.おせっかいな人から現場に行かせてもらえます。
人の幸せだけを願い行動することが大切です。
11.しつこい人から現場に行かせてもらえます。
人間の限界を決めず、技術も人間性もとことん追求していくことが大切です。
12.時間を気に出来る人から現場に行かせてもらえます。
時間はお金よりも大切なものだと言われます。もたもたしている人は一流の職人にはなれません。また、時間を守ることは人から信頼していただけます。
13.道具の整備がいつもされてる人から現場に行かせてもらえます。
道具を整備していることで、すぐに仕事にとりかかることができます。また、道具は実家からの仕送りで買わせていただいています。整備をすることで感謝の気持ちを表します。
14.おそうじ、かたづけの上手な人から現場に行かせてもらえます。
おそうじ、かたづけは仕事の最後の仕上げであり、 次の仕事への段取りになるので大切です。
15.今の自分の立場が明確な人から現場に行かせてもらえます。
今の自分の立場をわきまえることで、常に謙虚でいられます。
16.前向きに事を考えられる人から現場に行かせてもらえます。
後ろ向きに考えても前に進めません。これからどうなりたいのか、また、そのためにはどうすべきかを考え、成長し続ける事が大切です。
17.感謝の出来る人から現場に行かせてもらえます。
人は一人では生きていけません。常に周りの人に支えていただいていることに感謝し、その感謝を行動に移すことが大切です。
18.身だしなみの出来てる人から現場に行かせてもらえます。
身だしなみは社会人としての最低限のマナーであり、また、気持ちよく安全に作業するために大切です。
19.お手伝いの出来る人から現場に行かせてもらえます。
周りをよく見て、人が何をして欲しいのか察知して動けることが大切です。
20.自己紹介が出来る人から現場に行かせてもらえます。
自己を見つめ直し、自分を相手に知っていただくことが大切です。
21.自慢の出来る人から現場に行かせてもらえます。
お客様のために、どのようなものを、どんな工夫をして作ったのか説明できることが大切です。
22.意見が言える人から現場に行かせてもらえます。
意見を出し合うことで、素早く良い物を作ることができます。
23.お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます。
親には近況報告をし、お礼状をこまめに書くことで感謝の気持ちを伝えることができます。
24.トイレそうじが出来る人から現場に行かせてもらえます。
一番よく汚れる場所を磨くことで、自分の心も磨かれます。
25.道具を上手に使える人から現場に行かせてもらえます。
道具を自分の手足のように使えることで、お客様に感動していただける物を作ることができます。
26.電話を上手にかける事が出来る人から現場に行かせてもらえます。
相手の顔が見えない分、簡潔に分かりやすく伝えることが大切です。
27.食べるのが早い人から現場に行かせてもらえます。
食べることにも段取りが必要です。何事も集中して、おいしくいただく癖を付けることで仕事のスピードが上がります。
28.お金を大事に使える人から現場に行かせてもらえます。
丁稚見習い達は今、秋山学校からの奨学金と実家からの仕送りで生活しております。お金の生まれる過程を正確に理解し、感謝して使うことが大切です。
29.そろばんの出来る人から現場に行かせてもらえます。
頭の回転や、計算を早くすることで仕事の効率が上がります。
30.レポートがわかりやすい人から現場に行かせてもらえます。
その日学んだことを頭の中で製整理し、分かりやすく書こうとすることでもう一度身に付 き、 日々自分を高めることができます。
秋山学校の動画にあるように、秋山木工は、現代の丁稚制度と呼ばれる人材育成の制度を取り入れており、まずは秋山学校で「1年間の丁稚見習いコース」を学びます。
それから採用されると丁稚になります。
それから4年間の丁稚期間を経て職人となります。丁稚の期間は、男女問わず丸坊主です。
朝5時に起床し、朝食の支度をし、朝食の前に2キロのマラソンを行います。
丁稚期間中は恋愛禁止・携帯電話も禁止。休みは盆と正月のみで、それ以外は家族との面会・電話は許されず、手紙のみで親とのやり取りをしますが、そのやり取りの文章を見せていただきましたが、本当に愛情が溢れる文章で、ジンときました。
秋山代表の考え方には、反発を感じる方もいるかもしれません。しかし、人として、教育で大切か?を考えさせられることが多々あり、私自身、自分自身を見つめ直すいいキッカケになったと思います。
中国で100万部売れた下記の秋山代表の本に、詳しく考え方がかかれています。

